相続の遺留分とはどんな制度?(遺言があっても請求できる)
■遺留分とは?
「遺留分」とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限相続することができる遺産の割合のことをいいます。遺言や遺贈、贈与によって、法定相続人が一切遺産を相続することができないという事態を防ぐことで、法定相続人の利益を保護することが目的です。
■遺留分は誰に認められるか
遺留分は、被相続人の配偶者、子・孫・ひ孫などの直系卑属、父母・祖父母・曾祖父母などの直系尊属に認められており(民法1028条)、被相続人の兄弟姉妹には認められていません。
もっとも、相続欠格・推定相続人の廃除・相続放棄を行って相続権を失った者は、遺留分権を失います。
■遺留分侵害額請求
遺留分が侵害された場合、「遺留分侵害額請求」をしなければなりません。遺留分の侵害となる事情(遺言、遺贈)を知ってから1年間、何もしないままでいると、遺留分侵害額の請求ができなくなるため、注意が必要です。
例えば、配偶者や子等は、特定の相続人が遺言によって遺産のすべてを相続した等、遺留分を侵害された場合には、その侵害した相続人について遺留分侵害額請求(民法1046条1項)を行うことができます。
遺留分侵害額請求の期限は、遺留分権者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年(または相続開始から10年以内)とされています(民法1048条)。
■遺留分の割合・計算方法
●遺留分の割合
遺留分として請求が認められる割合については、以下の通りです。子や直系尊属が複数人である場合は、その都度人数で割ることになります。
・相続人が配偶者のみの場合・・・配偶者: 2分の1
・相続人が子のみの場合・・・子:2分の1
・相続人が直系尊属のみの場合・・・直系尊属:3分の1
・相続人が配偶者と子ども1人の場合・・・配偶者: 4分の1、子ども:4分の1
・相続人が配偶者と直系尊属・・・配偶者: 3分の1、直系尊属:6分の1
・相続人が配偶者と兄弟姉妹・・・配偶者:2分の1(兄弟姉妹に遺留分は認められていないため)
●遺留分の計算
遺留分の計算では、まず、「遺留分の基礎となる財産」を把握します。「遺留分の基礎となる財産」は、被相続人が相続開始時に持っていた財産に、生前贈与した財産(相続人に対するものは原則10年以内、第三者に対するものは原則1年以内)を加えた額から被相続人の債務を差し引いて算定します。財産の価値は相続開始時の評価が基準になります。
そして、その「遺留分の基礎となる財産」に遺留分の割合をかけた額が、遺留分として請求することができる金額となります。ただし、請求者にも贈与、遺贈、特別受益などがある場合にはその額を差し引く必要があります。
【具体例】父が亡くなり、妻と実子3人(長男A、次男B、三男C)が相続人であるところ、遺言で、遺産総額1200万円の預金を長男Aが全額相続することになった場合
…妻の遺留分が1200万円×4分の1=300万円、実子の遺留分が1200万円×4分の1=300万円で、これを実子3人で分けることになるため、B、Cの遺留分は300×3分の1=各100万円となります。
弁護士・亀子伸一(法律事務所みちしるべ)は、静岡市・藤枝市・焼津市・島田市・富士市を中心に、静岡県にお住いの方などからの「遺産分割協議」をはじめとした「相続」や「遺言」に関するご相談を承っております。
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